カルドセプトは本当に面白いゲームです。
これほど素晴らしいゲームなのですから、これをモノポリーや人生ゲームのようなアナログゲームにして、直接ボードやコマに触れるようにできればどれほど面白いでしょうか。
しかし、世の中のボードゲームより遥かに複雑なルールを持つカルドセプトをアナログ化するのは、そう簡単なことではありません。
そこで、カルドセプトをアナログゲームにするに当たって困難な点やルールが煩雑になる点、それらへの対処法について考えてみました。
目次
基本ルール
カルドセプトはスゴロクとカードゲームの組み合わせですので、ボードと山札を用意すればゲーム自体は可能でしょう。
各セプターは毎ターンの開始時に山札(ブック)から1枚のカードを引き、0~5の目の出るダイスを2つ振ってボードを進み、止まったマスで行動を行います。
空き地にとまった場合にはクリーチャーを召喚できますが、これはクリーチャーカード自体を空き地に置くのが良いでしょう。
クリーチャーを表すトークンを空き地に置くという方式でも良いのですが、これだとクリーチャーの能力を確認しづらいですので、能力の書かれたカード自体を置く方が好都合です。
カルドセプトの実物のカードと言えば、過去にも購入特典などで生産されてきましたが、下のようにイラスト主体のカードにしてしまうとコストや効果がよく分かりません。
イラストの大きさは多少犠牲にしても、テキストに面積を割いたデザインにすべきでしょう。
土地の所有とレベルアップ
土地にクリーチャーカードを置くという方法では、その土地が誰のものかということがすぐに分からなくなってしまいます。
対策として考えられるのは、ゲームと同じように、土地に色付きの枠を設置することです。
各セプターは最初に自分の色の枠を大量に持っておき、自分が取った土地にはその枠を設置します。
では、土地のレベルはどのように表示すれば良いでしょうか。
ゲームと同様に考えれば、色々な太さの枠を用意しておき、レベルに応じて置き換えるという案が考えられます。
しかし、これだとゲーム開始時に持っておくべき枠の数が5倍に増えてしまい、準備に苦労します。
どちらかというと、モノポリーと同じように、土地のレベルをトークンの個数で表した方がいいのかもしれません。
土地呪いとセプター呪い
カルドセプトをアナログゲームにするに当たって苦労しそうな点の1つが、呪いに関連するルールです。
バイタリティのような土地呪いに関しては、使用した呪いカードを対象の土地に置いておくことで、呪いが付いていることを示すのが良さそうです。
同様に、バリアーのようなセプター呪いは、撃った時にセプターの前に置くのが良いでしょう。
しかし、困るのがマスファンタズムのような複数呪いです。
呪いの対象は複数のクリーチャーなのですが、呪いカードは1枚だけなので、クリーチャーの前に配置することができません。
この場合、「ファンタズムトークン」のような物体を前もって用意しておき、マスファンタズムが撃たれると同時に各土地に配置する、というルールにするしか無いでしょう。
つまり、複数呪いの種類の数だけトークンを用意しなくてはならないことになります。
これは大変ですね…
所持魔力と通行料の計算
呪いより厄介なのが、所持魔力の管理と通行料の計算です。
電子ゲームではコンピュータが勝手に管理してくれていた所持魔力ですが、アナログゲームではセプターが自分で計算を続ける必要があります。
遊戯王のライフのように、電卓を自分の前に置いておき、コストとして使ったり通行料として払ったりした分をそこから引いていくのが最も手っ取り早いでしょう。
その通行料ですが、これも支払いが発生するたびに、地価とレベルと連鎖数から計算を行う必要があります。
かなり煩雑だと思うので、基本地価は100Gで統一する、Lv1土地では通行料支払いが発生しない、などの簡略化を行ってもいいかもしれません。
総魔力と順位の計算
更に厄介なのが、総魔力の計算です。
計算を行うには、土地のレベルと連鎖数から地価を求め、それを全ての領地について足し合わせ、そこに所持魔力と属性石(護符)の価値を加算し…、と面倒な手順を踏む必要があります。
もし計算違いで自分の総魔力を正しく把握できなかった場合は、ゲート通過時に目標を達成していたにも関わらず、それに気づかずゲームを続行してしまった、などということも起こりうるでしょう。
これについては、目標達成は自己申告制であるとし、気づかなかった場合はアガりは無効となる、というルールにするしか無さそうです。
普段は終盤にしか総魔力計算をする必要はありませんが、ギフトやマーシフルワールドのような順位参照型のカードを使った場合は例外です。
順位を定めるためにいちいちに全員の総魔力を計算しなくてはならないため、ゲームが進めづらいことこの上ありません。
これを解決できそうなのが、定期的に順位を決める方式です。
カルドセプトと同じボードゲーム形式の「ドカポン」シリーズでは、下のように、7ターンごとにプレイヤーの資産を整理し、順位が発表されます。
カルドセプトでも、5ターン置きぐらいに全員の総資産を計算し、その結果を以後5ターンの順位として使うようにすれば、それ以上の頻度で順位計算を行う必要はなくなります。
この場合、順位は5ターンごとの固定制となりますので、集計の直前に総魔力を少し落とせば、ギフトやマーシフルワールドでいい思いができます。
ダメージと能力変化
クリーチャーへのダメージの管理については、ポケモンカードが参考になります。
ポケモンカードでは、下のように、ダメージのたびにカードの上にダメージカウンターが配置され、この量がMHPを超えた時点で瀕死の判定となります。
カルドセプトにおいても、この方式を採用することができます。
ただ、全体焼きスペルを撃った際にはダメージカウンターを大量に置かなくてはならず、かなり面倒な予感はしますが…
ポケモンカードで必要なのはダメージを食らう操作だけですが、カルドセプトではMHPやSTの変化にも対処する必要があります。
ダメージカウンターだけでなく、MHP-10カウンターやST+10カウンターといったものも用意する必要がありそうです。
特にターンオーバーが使われた際のトークン配置の面倒さたるや、想像を絶します。
地形変化
ボードゲーム「カタン」では、下の図のように、各土地はタイルとして管理されています。
アナログゲーム版カルドセプトでも、領地をタイルとして設計しておけば、タイルの入れ替えという形で地形変化を行うことができて便利です。
マップの形を変えたいときも、タイルを並べ替えればいいだけなので、便利ですね。
ただ、タイルの上には多種多様なトークンが乗っかることになりますので、地変の際にタイルを入れ替えるのには苦労しそうです。
ランダム性への対処
カルドセプトは、本当にランダム要素の多いカードです。
例えば、60%で敵を即死させるイエティ、80%で敵を抹消するアネイマブル、などがそれに当たります。
これらのカードを使った戦闘の際には、10面ダイスを振って、効果の成否の判定を行う必要があるでしょう。
このようなカードは、確率が10%区切りとなっており、キリが良くて有り難い限りです。
一方で、ステータスが10~70のランダム値になるスペクター、通行料が0.5~2.5倍になるヨーウィなどはそうもいきません。
ダイスでは端数まで表現することはできませんので、スペクターならステータスは10区切り、ヨーウィなら通行料は0.5倍区切り、といったように粒度を下げる必要がありそうです。
では、ランダムに変身するバルダンダースはどうすれば良いでしょうか。
思いつく方法としては、前もって全クリーチャーのカードをシャッフルした山を作っておき、その山から1枚引いて出てきたクリーチャーに変身させる、というのが挙げられます。
これも非常に準備が面倒です。
同様に面倒なのが、ランダムな土地を選んでクリーチャーを配置する、スパルトイやアージェントキーのようなカードです。
ランダムな空き地を決める、という処理もかなり煩雑です。
やり方としては、カード使用直前に空き地にIDを振り、100面ダイス(そんなものあるのか…?)を振って出た値を空き地の総数で割った余りのIDの土地にクリーチャーを配置する、という方法が挙げられます。
私がプレイヤーなら、あまりやりたくはありませんね。
ブック破壊とブック復元
ディスコードやポイズンマインドといったカードによる山札破壊は、普段コンピュータが自動的にやってくれていた事をセプターが手動でやらざるを得ないので、ひたすら煩雑です。
それより問題なのが、メタモルフォシスやリフォームによるカードの置き換えです。
リフォームは特定のカードを全てマナに置き換えるカードですが、セプターはリフォームを撃たれることを予想し、入れ替え用の予備のマナを対戦に持参する必要があるわけです。
しかも、セプターが用意してきたマナより多くのカードをリフォームされてしまうと、入れ替えができなくなり、ゲームが続行できなくなります。これを避けるために、「同時にマナに置き換えられるのは8枚まで」といった制限を加えざるを得ないでしょう。
ブック破壊への対抗策としてリバイバルが挙げられますが、これもどう処理していいものか考え物です。
まず、リフォームやブラックスミスなどでブックの内容の置き換えが連発した場合、ブックをもとの状態に戻すのは必ずしも簡単ではありません。
復元に時間はかかるでしょうし、元からあったマナなのかリフォームされたマナなのかの判別も難しいです。
また、既に場に出しているクリーチャーカードを回収するわけにもいきません。
ゲームの仕様とは異なってしまいますが、リバイバル使用時には、場に出ていないカードのみでブックを再構成するしか無いでしょう。
ブック外からのカードの追加
上でも微妙に問題になっていましたが、カルドセプトの特殊な点は、ブック外からカードを持ってくる必要がある点です。
例えば、ハイブクイーンは手札にハイブワーカーを加えるカードです。
この場合、ハイブクイーン使いはハイブワーカーの山を前もって用意しておき、ゲーム中にその山からハイブワーカーを補充する必要が出てきます。
これは、グーバクイーン、レジェンドファロス、コンジャラー、といったカードでも同様です。
変身能力を持つカードでも同じことが言えます。
例えば、アクアホーンを秘術で変身させたい場合、前もってミストウイングを用意してブック外に待機させておく必要があります。
シルフ、ギアリオン、アームドパラディン、などのような変身カードについても同じ準備が必要になります。
「遊戯王」のようなトレーディングカードゲームを想定する場合、この変身能力は厄介です。
というのも、アクアホーンは持っているがミストウイングは持っていない、というようなプレイヤーは、変身能力を使えなくなってしまうからです。
公平を期すためには、「ドミニオン」のように、カードを共有財産化し、必要なカードはサプライから獲得する方式にした方がいいのかもしれません。
密命カード
密命カードをテーブルゲーム版カルドセプトに組み込むこと自体は簡単です。
プレイヤーは手札を常に表向きに場に置いて公開、但し密命カードは裏向きに配置する、というルールにすれば良いでしょう。
ただ、このルールはイカサマの余地を生んでしまう危険性があります。
例えば、その気になればシャッターのような通常カードを密命カードと偽って裏向きに配置することも可能です。
そして、「Hidden craftです、しかし条件未達成のためブックに復帰させます」などと言って、そのカードをブックに戻すこともできます。
また、エロージョンを撃たれた際に同種の密命カードを2枚持っていた場合にも、虚偽申告ができてしまいます。
これはもう対策のしようがありませんね。
まとめ
カルドセプトのアナログゲーム化が可能かどうかと言われれば、一応は可能だと思います。
但し、
- 通行料と総魔力の煩雑な計算
- ダメージ、ステータス変化、複数呪いで登場する大量のトークン
- ランダム変身やランダム土地配置
といった面倒な要素が多数存在しますので、快適なプレイングは望めそうもありません。