ファイアーエムブレム風花雪月 学級別キャラクターポジション

ファイアーエムブレム 風花雪月」で仲間になるユニットは、主に黒鷲の学級青獅子の学級金鹿の学級セイロス聖教会の4つの勢力に所属しています。この4つの勢力は、同じようなポジションのキャラクターで構成されているようだということに、プレイヤーなら勘づくことと思います。

例えば、エーデルガルトは黒鷲の学級の級長です。同じく、各勢力のまとめ役としては、ディミトリクロードセテスがこのポジションに相当します。勢力内の立場や関係性で括ったポジショニングを、以下では「人間関係別ポジション」と呼びます。

また、エーデルガルトは重装技能が伸びやすく、壁役運用に適しています。同じく、各勢力で壁役に向いたユニットとしては、ドゥドゥーラファエルアロイスがこのポジションに相当します。戦いでの役割で括ったポジショニングを、以下では「戦闘性能別ポジション」と呼びます。

本作では、「人間関係別ポジション」で括ったメンバーと「戦闘性能別ポジション」で括ったメンバーが可能な限り被らないよう工夫がされている様子であり、これによって個性豊かなキャラクターが生まれています。そこで、各ポジション別のキャラクターをまとめてみました。

 

人間関係別ポジション

級長&腹心

各勢力の最重要ポジションは、まとめ役である「級長」です。

エーデルガルト・ディミトリ・クロードは各国家の次期指導者であり、リーダーシップと権力を兼ね備えています。セイロス聖教会でこのポジションに当たるのは、銀雪の章で級長的役割を担うセテスでしょう。

 

また、各勢力には、級長に対して非常に協力的なメンバーが居ます。級長の人望を表現するという役目を担う、重要キャラたちです。

ヒューベルトは帝国の宮内卿であり、エーデルガルトの指示を忠実に遂行する名臣です。

ドゥドゥーはディミトリに命を救われた過去があり、主君の盾として彼に仕える忠義の男。

クロードにはこの2人のような忠臣は居ませんが、強いて言えばヒルがこのポジションでしょう*1。彼女はクロードの野望を全く理解していないにも関わらず、何故か彼に協力的であり、帝国ルートでは唯一クロードを絶対に裏切らない金鹿生徒です。

セテスについては、娘のフレンが最もかかわりの深いキャラと言えるでしょう。

 

ライバル

腹心ポジションのキャラは、級長に対して好意的なイエスマンでした。しかし、級長に従順なキャラばかり登場するというのも退屈です。そこで重要になってくるのが、級長に対してノーを突き付けられるライバル的人物です。彼らは級長と切磋琢磨して成長し、ドラマを生んでくれます。

フェルディナントは、七貴族の変で皇帝から権力を奪った宰相家の嫡子であり、エーデルガルトの生まれながらのライバルと言えます。

フェリクスは、ファーガスでは王家に次ぐ名門フラルダリウス家の出身であり、ディミトリに対して棘のある態度を取る皮肉屋です。

ローレンツは、根は愛国者ですがクロードとは方向性が合わず、度々意見が衝突します。クロード死亡ルートではレスターの代表になるという実力者です。

セイロス聖教会の人間関係は各教室とは異なるため、判断は難しい所ですが、セテスと相反する思想を持つ人物として挙げられるのはレアでしょう。彼女は、「真祖を復活させる」「母の仇を討つ」という目的で戦う人物ですが、どちらの行動原理もセテスからはやんわり反対を受けています。

 

親友(積極的&控え目)

腹心・ライバルポジションのキャラは、いずれも級長と強い関りを持っています。しかし、全ての人間関係が級長を中心に展開されてしまうと、物語として深みがありません。そこで、級長が関わらない人間関係の核として、互いに親密な関係の2人組が各勢力に存在しています。

カスパルリンハルトは、ともに帝国の七貴族の子であり、昔から互いの家を訪れたり遊びに出かけたりしていた幼馴染です。性格は正反対かつ、父親同士も犬猿の仲として有名であるにも関わらず、彼ら2人は仲良しという点が面白いところ。

メルセデスアネットは、ともに王都フェルディアの魔道学校に通っていた旧友であり、互いに「アン」「メーチェ」と呼び合う親密な仲です。ペアエンドでは2人で余生を過ごすという、ほとんど家族同然の付き合いとなります。

イグナーツラファエルは、ともに同盟の豪商の生まれであり、幼い頃から家族ぐるみの付き合いをしていました。過去の事件について負い目を感じているイグナーツを、ラファエルが明るく激励するという、ハートフルストーリーが見所です。

シャミアカトリーヌは、ダグザの傭兵とカロン伯女という全く異なる出自ながら、共闘する内に互いを相棒として信頼し合う関係になった2人です。女性同士で支援A+が組め、同性婚エンドも用意されているという親密ぶり。

親友ペアの性格ですが、一人は2人の仲をグイグイ引っ張る陽気な人物であり、もう一人はその後に付いていく控え目orクールな人物となっています。上の画像では、前者を上段、後者を下段に載せています。

 

貧しい出自

ここまでのキャラは、貴族や豪商の子弟といった、裕福なバックグラウンドを持っていました。しかし、上流階級の生活ばかりでなく、庶民の暮らしも描いてこそ、プレイヤーに広大な世界観を実感させられるというもの。そこで登場するのが、今までとは対照的な、貧しい生まれのキャラクター達です。

ドロテアは、現在でこそ歌姫として社交界で貴族と肩を並べる身分であるものの、その出自は貧民街の孤児です。名家出身揃いの黒鷲の学級の中で、平民の生活をプレイヤーに痛感させる重要な役割を持ちます。

アッシュは、現在は王国貴族であるロナート卿の養子ですが、元々の生まれは酒場の子です。貧しい毎日を生き抜くために、姉妹とともに盗みを働いていたという、今作の盗賊枠。優雅な生まれの貴族とは対極的な過去を持ちます。

レオニーは、同盟の一集落であるサウィン村の猟師の娘。士官学校の高額な入学金を賄うため、村中の人に借金をしたという苦学生です。

ツィリルは、パルミラ出身の少年であり、同盟との戦いに巻き込まれた戦災孤児。その後、ゴネリル家の使用人として働いたのち、今ではレアに拾われ従者となっています。

 

問題児&模範生

今作は、教師となって教え子を指導する、学園育成シミュレーションゲームです。現実の学級経営では、指導に手の掛かる困った生徒や、逆に全く手の掛からない優秀な生徒など、色々な生徒を一緒くたに受け持ちます。彼らをいかに平等に教え導けるかが、教師の腕の見せ所。こういった両極端のキャラが居ると、手のかかる子が見事成長していく過程を描けたり、優等生ならではの悩みを描写できたり、といったように学園ドラマに幅が生まれます。

ベルナデッタは、引き籠りかつ被害妄想が激しいという困った子。少し手の掛かる生徒であるが故に、ちょくちょく様子を見に行きたくなってしまいます。

対してペトラは、留学先であるフォドラの文化を吸収すべく学業に邁進する真面目なキャラクターです。支援会話では、手紙を書くためにフォドラの古文を自学するほどの勉強家であり、全く手の掛からない優秀な生徒です。

シルヴァンは、女性関係にだらしがなく、幼馴染のイングリットから「問題児」と呼ばれる人物です。チャラ男キャラは、FEの伝統的な困り者ポジションです。

対するイングリットは、そんなシルヴァンのお目付け役となってくれる真面目な生徒です。素行に問題のある生徒を注意する、風紀委員的な一面を持ちます。

マリアンヌは、口数が少なく自己否定的で、人との関わりも避けがちなキャラ。見ていて心配になる生徒であり、彼女がいかに成長していくのか、目が離せなくなります。

対するリシテアは、勤勉かつ成績優秀で、学業上は何の心配もないキャラ。戦闘面でも頭脳面でも仲間から実力を信頼されている優等生です。

マヌエラは、酒癖の悪さや整理整頓能力の低さゆえに、教師として仕事ぶりが心配になる人物。校医なのに、逆に生徒に二日酔いの介抱をされるという脱力系キャラです。

一方、ハンネマンは、生徒の模範としての教師像をマヌエラに説くベテラン教師です。教師としての振る舞いには何の心配もないキャラです。

 

補足

教会勢力をセイロス聖教会として見た時の級長&腹心ポジションはセテス&フレンですが、セイロス騎士団として見た時はジェラルトアロイスが級長&腹心に相当するように思えます。教会の面々は、各学級と完全に同じポジションに当てはめることは難しそうです。

 

戦闘性能別ポジション

ここまでで、各々の学級は、人間関係という軸で輪切りにすると、同じ断層面を持つことが分かりました。今度は、戦闘における能力という視点で各勢力を輪切りにしてみます。

なお、教会のユニットは、あくまで自軍の戦力の穴を埋めるための補充要員としてデザインされている様子。そのため、必ずしも各学級と同じ枠には綺麗に当てはまりませんが、可能な限り近いポジションを考察していきます。

 

近接騎馬 / 重装 / 飛行 / 近接歩兵

今作には騎馬・重装・飛行・歩行の4つの移動タイプが存在し、それぞれに適性を持ったキャラが各学級に存在します。

ソシアルナイトパラディンといった騎馬兵種に適するのは、フェルディナントシルヴァンローレンツジェラルトの4人です。敵軍や友軍として登場した際にパラディンであることが多く、近接物理系の騎兵として育成することが想定されている様子です。

アーマーナイトやフォートレスといった重装兵種に適するのは、エーデルガルトドゥドゥーラファエルアロイス*2の4人です。いずれも硬い・強い・遅いの個人成長率を持ち、壁役にピッタリ。

ペガサスナイトドラゴンナイトといった飛行兵種に適するのは、ペトラ*3イングリットクロード・セテスの4人です。速さと幸運の高いキャラが多く、飛行系のスキルと合わせて回避盾運用に向いています。

そして各学級には、馬術・重装術・飛行術のいずれも得意でない近接物理アタッカーが存在しています。カスパルはウォーマスター、フェリクスカトリーヌはソードマスター、ヒルはウォーリアとして、歩兵のまま運用することが想定されているのでしょう。

 

弓兵 / 黒魔道士 / 白魔道士

FEの戦闘は、剣・槍・斧で直接殴り合うだけが能ではありません。弓で遠距離から敵を狙い打ったり、黒魔法で守備自慢の敵を崩したり、白魔法で味方をサポートしたり、といった立ち回りも重要。そういった後衛キャラも、各学級に平等に存在しています。

アーチャーやスナイパーといった弓兵に適するのは、ベルナデッタアッシュイグナーツシャミアの4人です。多くは各学級の技成長率トップのキャラであり、弓で遠方を狙った際の命中率減衰を気にせず戦えます。

メイジやウォーロックといった黒魔道士に適するのは、ドロテアアネットリシテアハンネマンの4人です。いずれも守備面は薄いものの、習得する黒魔法のラインナップは遠距離魔法や特効魔法など魅力的なものが多く、間接アタッカーに向いています*4

プリーストやビショップといった白魔道士に適するのは、リンハルトメルセデスマリアンヌマヌエラの4人です。黒魔道士と比べると耐久面が高めであり、かつ自己回復系の個人スキルも所有しており、粘り強く味方を回復する救護班の役割に向いています。

 

お国柄

ここまでの7つのポジションを組み合わせた学級を作ると、どの学級も総合性能が同じとなってしまい、多様性がありません。そこで開発陣は、各勢力の特色に応じた性能のキャラを追加することで、お国柄を表現しています。

例えば、帝国は「魔道を得意とする者が多い」というバックボーンがあります。そこで、黒魔道士の性能を持つヒューベルトを追加することで、国家の特色を表現しています。

同様に、槍が得意とされる王国には槍系近接歩兵のディミトリ、弓が得意とされる同盟にはボウナイト向きのレオニー、聖職者が主戦力となる教会には白魔道士の性能を持つフレンが所属。これにより、各勢力のパーティ構築にバラエティが生まれています。

 

ポジションの組み合わせ

以上の2つのポジションの組み合わせを表にしてみると、上のようになります。同じ組み合わせを持つキャラを2人までに制限することにより、バラエティ豊かなキャラクターが生み出されていることが分かります。

同じ組み合わせが2人居る部分については、その兵種のステレオタイプが影響しているものと考えられます。例えば、黒魔道士は知識豊富でないと務まらないため、模範生ポジションが似合います。また、近接歩兵は血の気が多そうですから、親友を積極的にリードするポジションが似合います。

 

まとめ

風花雪月の帝国・王国・同盟・教会の4勢力は、それぞれ人間関係別に見ても戦闘性能別に見ても、同じポジションを持ったキャラクターで構成されていると言えます。かつ、人間関係別ポジションと戦闘能力別ポジションを組み合わせた際、同じ組み合わせのキャラが多くなり過ぎないよう調整がされています。

こういったキャラ作りは、過去作とは大きく異なります。過去作では、「オグマのような傭兵兄貴ポジション」「ミネルバのような寝返り赤竜騎士ポジション」「バーツのような力自慢斧戦士ポジション」といったシリーズのお約束に則ったキャラ作りが成されていました。今作ではそういったお約束のキャラが登場しない代わりに、勢力間でポジションを共通させる緻密なキャラ作りが成されています。

今月発売となるFEエンゲージでは、どのような魅力的なキャラが登場するのでしょうか。次回作に期待が高まります。

*1:腹心という立場に一番近いのはナデルですが、生徒でクロードと一番親交が深いのはヒルダでしょう

*2:重装術が得意のためフォートレスに向きますが、一方で格闘術得意を活かしてウォーマスターにも適しているため、壁役に分類するかは微妙なところです。教会の重装職と言えばギルベルトも居ますが、仲間入りは王国限定です

*3:黒鷲の学級で唯一の飛行得意ユニット。但し、敵対時はアサシンとして登場することもあり、飛行ユニットに分類するかは難しいところ

*4:アネットだけは何故か習得魔法のラインナップが貧弱。打ち砕くものを活用してくれという、開発側からのメッセージなのでしょうか