ファイアーエムブレムエンゲージ 初報PV考察【②世界観】

前回に引き続き、ファイアーエムブレムエンゲージの初報PVについて考察していきます。今回は、ゲームの舞台設定や人物についてです。

 

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記憶喪失の主人公と2体の竜

物語は、主人公リュールが長らくの眠りから覚める所から始まります。赤と青のツートンカラーが特徴的な主人公。彼(彼女)は一体何者なのでしょうか。

公式サイトでは「神竜の子」と表記されていますが、同時に記憶喪失でもあるそうです。記憶喪失設定を持ち出すからには、出自に何か秘密があるはずです。その謎は、神竜と邪竜に隠されていると予想します。

 

PVには神竜と思しき巨大なドラゴンが現れ、それに続いて神秘的な少女が登場します。頭の羽のようなデザインが神竜と共通する彼女は、恐らく神竜の化身なのでしょう。

但し、主人公の産みの親と見るには幼すぎます。「if」のリリスのような妹ポジションか、「風花雪月」のソティスのようなご先祖様なのか、といった所でしょう。

注目すべきは、神竜の鱗や少女の頭部に青色が入っていることです。青色は神竜族のイメージカラーといった所でしょう。

 

逆に、邪竜は体表が赤く、異形兵も目が赤いのが特徴的。赤は邪竜の眷属の印、と捉えることができます。

そして、青い頭部と赤い目、両方の特徴を持ったのが主人公です。主人公のツートンカラーは、神竜と邪竜の両方の力を秘めている表れではないかと推測します。

 

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過去作では、「覚醒」のルフレのように、主人公が邪竜と一体化する例もありました。「風花雪月」のベレトは神祖竜ソティスの心臓を埋め込まれていましたし、「if」のカムイはラスボスである透魔竜の血を引いていました。新作の主人公リュールも、神竜だけでなく邪竜の力を持っているのでしょう。そんなリュールが邪竜を倒すのはある意味で味方殺しとも捉えられ、色々とドラマが生まれそうです。

 

可愛らしいデザインのキャラクター

PV内で顔が確認できる味方キャラクターは、上記の12人。全体的に、やや幼さの感じられる可愛らしいデザインのキャラが多く、FEHのようなソシャゲ風のポップな雰囲気が感じられます。風花雪月とは作風が明確に異なり、開発元はコーエーテクモゲームズでは無いのでしょう。

特に、シトリニカやセリーヌが可愛くて気になる所です。名前は分かりませんが、紫服の女魔道士も可愛い。

 

特別版のパッケージには更に色々なキャラが映っており、やはりどれも可愛いです。魅力的なユニットを使えるのが待ち遠しくなります。

 

絶対的な悪役が存在する安直なストーリー

正直な所、今作のストーリーは不安な部分が多いです。特に、悪役について。

PVでは邪竜や、暗黒司祭風の男、将軍風の男が登場しています。それぞれ、「暗黒竜と光の剣」で言う所のメディウス、ガーネフ、カミュに相当しそうな敵です。FEの古典的なお約束に則った敵であり、イマイチ新鮮味は感じられません。

特に「邪竜」という、無条件で悪と断定できる敵を最初から出すのは、安易だと思います。FEの産みの親である加賀昭三氏は、ストーリーに深みを持たせる条件として、「絶対悪を登場させない」ことを重視していました。前作「風花雪月」のストーリーが好評を博したのも、ラスボスであるレアや破骸エーデルガルトが絶対悪では無かったことが一因でしょう。

逆に、邪竜ギムレーと敵対する「覚醒」や、邪竜イビルザークが登場する「無双」は、ストーリーが浅く感じました。エンゲージも同様に、現段階ではドラマに深みが出そうな予感がしません。安っぽいストーリーになってしまわないか心配な所です。

 

戦記物が盛り上がらなさそうな地理

エレオス大陸の舞台設定からも、戦記物の重厚感が感じられません。

主人公が目覚める地と思われる聖地リトスを、黒い島(邪竜の支配する地?)が取り囲んでおり、その周囲に4つの国家が展開するという構図です。「if」「エコーズ」が2国間対立、「風花雪月」が3国間対立をテーマとしていたため、本作では4国間の関係性が描かれるのでしょう。

しかし、この現実には到底あり得ない同心円状の地図からは、あまり戦争物特有のロマンが伝わってきません。

 

ここで、戦記物としてストーリーの完成度が高かった、風花雪月の初報PVの地図を見てみましょう。フォドラの世界観の優れている所は、地図にこのように表れています。

  • 各国の版図に大小を付け、強国と弱小国というドラマ性を生んでいる。
  • フォドラ外との接続部分を可視化し、世界の広がりや外界の脅威を示唆する。
  • 地名を地図に書き込み、政体や地理といった設定の作り込みを仄めかす。

 

対して、エレオス大陸の地図はどうでしょうか。4か国の面積が全て同等という、現実味のない設定。外界との繋がりのない、隔絶された島世界。地名の全てを排除した、シンプル過ぎる図面。今一つ、ここから戦記物のストーリーを盛り上げられる気がしません。下手をすると、覚醒のような少年漫画系ゆるふわストーリーが展開されてしまいかねず、心配でなりません。

 

まとめ

初報PVから、最新作の世界観を考察しました。

キャラクターたちは、ビジュアルからして非常に魅力的で、実際に使えるのが待ち遠しくなります。一方で、ストーリーは一体どうなるのか、不安が募ります。もちろん、現時点で公開されている僅かな情報では、ゲームの面白さは評価できません。今後の続報に、引き続き期待します。