【ファイアーエムブレム】最強兵種ボウナイト 激動の歴史

FEで最強の兵種と言えば、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

必殺の回避の鬼・ソードマスター? 硬くて強くて飛べるドラゴンマスター? 遠距離武器で一方的に攻撃できるシューター? 候補は色々と浮かぶと思います。

しかし、FEでの強兵種は盛者必衰にして春の夜の夢のごとし。どれだけ強い兵種も、次回作では大抵ナーフされ、大幅弱体化は免れません。

そんな諸行無常のFE界において、どういう訳かいつまで経っても強いまま残り続けている兵種が存在しています。そう、ボウナイトです。

ボウナイトのモデルと言えば、現実世界にも存在したモンゴル帝国の弓騎兵です。モンゴル帝国と言えば、中世の国家の中で最大の版図を誇った強国です。中国や東欧をも手中に収め、ヨーロッパ諸国から恐れられてきました。中世ヨーロッパをモチーフにしたFEの世界観において、モンゴル帝国モチーフのボウナイトが強いのは当然と言えるでしょう。

 

このボウナイトですが、FEの初期作品から強かったというわけではありません。特に加賀氏の作品(トラキア以前)では、成長率が低い、屋内では下馬必須、近接攻撃も不可、など散々な性能でした。

しかし、「封印の剣」においてこれらの性能が見直されてからは、エース兵種に大躍進。それ以降、「風花雪月」に到るまで強兵種のポジションを維持し続けています。もちろん、多少は冬の時代を経験することもありますが、シリーズを通してこれほど活躍し続ける兵種は他には居ません。

 

そこで、ボウナイトの強さを検証するため、封印以降のシリーズ各作品における弓騎兵の強さを次の5段階で評価してみました。

 

★★★★★:攻略上必須級の強さを持つ。最終メンバーには必ず採用したい。

★★★★:必須ではないが、他の兵種より有用。採用すると攻略が大幅に楽になる。

★★★☆☆:他の兵種と同等の強さ。採用すれば戦力に堅実に貢献してくれる。

★★☆☆☆:性能が低めで、大抵競合する他の兵種が採用される。

☆☆☆☆:あまりに性能が低く、採用する価値がない。

 

封印の剣

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強さ:★★★★★

遊牧民遊牧騎兵

封印の剣」における弓騎兵は、草原の部族兵という設定。下級職時代から騎乗しており、なかなか扱いやすい兵種となっています。

この作品における遊牧騎兵は、作中最強とも言える兵種です。まず、速さ上限が30と非常に高く、ソードマスターや勇者といった難敵に追撃を取れる数少ない戦力です。キラーボウや勇者の弓を持たせれば、ほとんどの敵を追撃込みでワンパンできるエースアタッカーと化します。また、今作の終盤はドラゴンマスターが無数に出現するため、特効を突ける遊牧騎兵は非常にありがたい存在です。攻撃性能のみならず、騎兵ながら河も渡れる機動力、救出+再移動によるサポート力も見逃せません。

ライバル兵種であるスナイパーと比べると、遊牧騎兵の強さがさらに際立ちます。スナイパーと違って、移動力に優れ、剣による近距離反撃も行え、上限値も高い、と遊牧騎兵は良いことずくめ。対するスナイパーは、アーチを操作できるという差別化要素はあるものの、そもそも自軍が使用可能なアーチが2~3マップにしか登場しないため使い物になりません。

あまりの便利さのせいか、今後5作品に渡り、弓騎兵はじわじわと弱体化されていくことになります。

 

烈火の剣

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強さ:★★★★

遊牧民遊牧騎兵

封印の剣」で暴れすぎたことが原因か、「烈火の剣」における遊牧騎兵の待遇は微妙に悪化しています。

まず、自軍の遊牧騎兵は1人だけに減らされ、その仲間入りも21章とかなり終盤になりました。加えて、直後の2章は砂漠マップであり、育成が難しいもの困った点です。その他、ホースキラーにより特効を受けるようになったり、ドラゴンマスターの出現数が減少したりと、こまごまとした逆風を受けます。

それでも、遊牧騎兵の優秀な上限値や機動力は健在。高速高火力アタッカーとして、自軍の攻めの要を担ってくれます。依然として、作品きっての強兵種であることには変わりありません。

 

聖魔の光石

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強さ:★★★★☆

アーチャーフォレストナイト

聖魔の光石」では、前作までの遊牧騎兵がフォレストナイトと名を変えて登場。下級職はアーチャーとなり、クラスチェンジ時に騎乗する仕様となりました。

クラスチェンジの際にはスナイパーかフォレストナイトのどちらかを選ぶことになりますが、この選択ではフォレストナイトがかなり有力。移動力が伸び、近接攻撃ができるようになり、救出力もアップ。弓騎兵の道を選ばない手は無いでしょう。

また、今作は大河ナルーベや魔の森など、不整地だらけのマップが終盤に複数登場。不整地への進入コストが小さいフォレストナイトが光ります。加えて、アークビグルやデスガーゴイル、ドラゴンゾンビなど飛行系魔物の特効が突けるのも嬉しいところ。遊牧騎兵時代の強さをそのまま引き継いだ活躍が期待できます。

これだけ優秀なクラスなのに、深刻な人材不足により、どうにも影が薄め。というのも、フォレストナイトになれるのは本編中ではジストとネイミーのたった2人。ジストは手斧を使わせるために勇者にしたいので、この兵種は実質ネイミー専用クラスと化しています。

 

蒼炎の軌跡

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強さ:★★★☆☆

ボウナイトパラディン

蒼炎の軌跡」では、自軍唯一のボウナイトとしてステラが登場。高速・中火力・紙耐久という合理的な能力値を持ち、遠隔アタッカーとしては扱いやすいユニットです。攻撃後再移動が可能なゲームシステムになったことから、弓を撃ち逃げするヒット&アウェイ戦法もできるように。

一方で、今作からは射程3の「長弓」がアーチャー系専用となったことにより、ボウナイトは射程面で不利に。また、特効倍率が2倍に下方修正されたため、弓そのものが火力不足に陥ります。終盤のドラゴンマスターを追撃込みでもワンパンできず、使用価値を見出せません。

加えて、本作ではパラディンが壁役寄りの上限値を持っており、ボウナイトの成長率と全く噛み合いません。速さ上限が27しかないためすぐカンストしてしまい、また守備上限27という恵まれた値は宝の持ち腐れに。弱くはないのですが、何だか惜しい兵種です。

 

暁の女神

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強さ:★★☆☆☆

弓騎兵弓騎将  白銀騎将

前作に引き続き、ステラが続投。

蒼炎の軌跡」では、ソードナイト・ランスナイト・アクスナイトの3兵種が、動ける壁役として猛威を振るいました。これを受け、「暁の女神」では騎兵が大幅なナーフを受けます。その影響で、特に強くなかったボウナイトまで、巻き添えでナーフを喰らってしまいます。

弱体化の内容としては、成長率や上限値の引き下げ、習得武器の制限など。段差*1の配置増加により、移動を制限されるのも厳しい点です。

弓自体も相変わらず不遇で、特に今作では竜騎士が弓特効を受けなくなったため、本当に弓は誰に撃つのか分からない武器と化しています。

そんな中、ライバルの弓歩兵は大幅な強化を受けています。特に神射手はスキル「射程+1」と弩装備により射程1-3を実現。弓で射程2しか実現できない弓騎兵は、役割を完全に食われてしまう事に。弓騎兵を使っていくには愛が必要です。

 

新・暗黒竜と光の剣

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強さ:☆☆☆☆

ハンターホースメン

過去作のボウナイトが、ホースメンと名を変えて登場。今作は、歴史上で最も弓騎兵が弱かった作品と言っても過言ではありません。

今作のホースメンは、能力上限値は高いものの、肝心の能力基本値そのものは低いという兵種です。どれぐらい低いのかと言うと、人気兵種である勇者と比べた場合、移動力以外すべてにおいて下位互換になってしまうほど。実際、勇者からホースメンに兵種変更した時の能力補正は下のような感じです。自由に兵種変更ができる本作において、このような情けないステータスの兵種をわざわざ選ぶメリットはありません。

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上限値が高いという長所も、無用の長物です。今作ではレベルの上がり方が緩く、終章でもせいぜい上級Lv10に達するかというところ。成長率の水準も低く、ホースメンのパラメータが上限に達することはほぼありません。

その上、今作ではオンラインショップでロングボウが無制限に購入できます。これにより、射程3の攻撃を無限に行えるスナイパーが強兵種に。ホースメンはますます立つ瀬がありません。

様々な要因が重なり、弓騎兵は冬の時代を迎えるのでした。

 

新・紋章の謎

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強さ:★★★★★

ハンターホースメン

新・暗黒竜と光の剣」と全く同じ能力で登場したホースメン。しかし、前作とは一転し、今作では最強兵種の一角に登り詰めます。

新・紋章の謎」では前ユニットの成長率と入手経験値が上方修正されました。これにより、レベルは20章前後でカンストしてしまうようになり、パラメータも簡単に上限に達するように。こうなると、ユニットの性能を決めるのは上限値になってきます。

ホースメンは、全兵種中最高である、速さ上限30というのが悪魔的に強力です。特に、ルナティックモードの強敵である、20章の勇者や22章の火竜は速さが26。速さ30であれば、これらの敵にピッタリ追撃が出せます。ソードキラーやドラゴンソードといった特効武器も扱えるため、火力も十分。難敵をワンパンできるというのが非常に頼もしい存在です。

加えて、オンラインショップの廃止によりスナイパーの立場も低下。弓使いとしてはホースメン一強の時代となるのでした。

 

覚醒

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強さ:★★☆☆☆

アーチャーボウナイト

ボウナイト自体は弱くないのですが、それ以上にロングボウが強すぎるゲームです。

本作では、遠近両対応の雑魚敵が爆増。斧兵にはトマホーク、槍兵にはスレンドスピアが配られた他、剣メインの兵種も射程2の攻撃を習得するように。どんな武器で攻撃を仕掛けても、インフレした火力で反撃され、致命傷を負ってしまいます。

そんな世紀末環境における救世主が、射程3のロングボウです。遠近両用の敵に対しても、アウトレンジから攻撃すれば無傷で済みます。ロングボウ自体は威力不足ですが、ダブルの後衛が火力を出してくれれば問題ありません。

加えて、16章・17章のように幅2マスの壁や河が登場するマップも多く、ロングボウで反対側の敵を撃破して活路が開ける場合も多々あります。

その上、本作では初期弓兵がヴィオールとノワールのみという、極度の人材不足。貴重なロングボウ使い候補を、ボウナイトにはクラスチェンジさせられません。

様々な要因が重なり、ボウナイトは日の目を浴びない兵種となってしまいます。

 

if

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強さ:★★★★

シーフボウナイト

性的マイノリティへの配慮と職業の男女平等が謳われた本作。その影響か兵種の特権も平等化され、巧者の和弓(≒ロングボウ)や弓砲台(≒アーチ)が弓歩兵以外の全ての弓系兵種で使えるように。今後、スナイパーの特権はボウナイトにも適用されるようになります。

また、弓自体の性能も引き上げられ、特に和弓は威力が斧相当にアップ。さらに3すくみにも加入することとなり、槍や暗器といった明確な役割対象を得ました。これにより、アタッカーとしては非常に運用しやすくなっています。

さらにボウナイトは、このゲームの鍵を握るスキル「暗器殺し」を習得できます。「負の連鎖」持ち上忍を安心して相手できるのは、ボウナイトだけだと言えるでしょう。暗夜25章のような難関マップを攻略する上で、無くてはならない兵種です。

その他、盗賊上がりだと移動が9になるのもユニークな強み。様々な長所を詰め込んだ素晴らしい兵種です。

 

エコーズ

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強さ:★★★★

村人 → アーチャー → スナイパー → ボウナイト

「エコーズ」でのボウナイトは、弓兵系の最上級職という立ち位置に。

今作のボウナイトの最大の強みは、弓さえ装備していれば常時射程が1-5になるという点です。いくら原作に忠実なリメイクとは言え、射程3の攻撃ですら制限されていたifと比べると、射程5が許されるのは破格の待遇です。

今作には城壁・掘・河などの内側に敵が篭っているという攻城戦形式のマップが多く、正攻法では攻めあぐねる所です。しかし、ボウナイトなら壁越しに遠距離攻撃ができるため問題になりません。引き篭もりの敵軍に矢の雨を降らせ、スマートに勝利を手繰り寄せてくれます。

また、「if」と比べると剣は使えなくなっていますが、今作では弓装備のまま近距離反撃ができるので問題なし。さらに、神器キラーボウを装備すれば、戦技「ハンターボレー」で確定2回攻撃も可能。

但し、ボウナイトのステータス面はやや貧弱。特にSPDのクラスチェンジボーナスが低く、敵に追撃が取りづらいのが難点です。TECの値も最低限で、遠くの敵を狙うと常に命中不安が付きまといます。そのため最終章では、遠距離攻撃要員としての立場を神官*2に奪われてしまうことも。

 

ヒーローズ

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強さ:★★★★★(リリース1年目)

   ★★★☆☆(2020/05現在)

ボウナイト

「ヒーローズ」におけるボウナイトは、移動力3と射程2を持つ、非常に優秀な攻撃範囲を持つユニットです。マップが8×6のサイズしかない本作では、ボウナイト1人の攻撃範囲だけで、マップの90%近くをカバーできてしまいます。

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ヒーローズで初めて実装された自軍ボウナイトは、1年目の総選挙英雄である総選挙リンでした。父ハサルにちなんで遊牧騎兵スタイルで登場したリンの能力は、当時としては非常に優秀。高い基礎パラメータに加え、ミュルグレの「速さ+3」と当時レアだった「鬼神飛燕の一撃2」により攻撃と速さを盛れるため、追撃込みで大抵の敵をワンパンできるキャラでした。加えて、ミュルグレの武器効果によりブレード系魔法を阻止し、「サカの加護」により遠距離反撃を阻止するなど、流行の戦術を徹底的にメタって勝利を掴みます。

その強さから、実装当初は闘技場のトップメタでした。特に、ラインハルトと相互に「騎刃の鼓舞」を掛け合って登場する敵リンが多く、多くの召喚士を絶望の淵に叩き込みました。リン対策のため、激化レイヴンが手放せない日々が続きます。

2020/05現在ではボウナイトの強さはやや下火になりましたが、それでも伝承リーフやベルナデッタなど使いやすいキャラが新たに実装されています。また、飛空城では「火薙ぎの弓」+「死の吐息」型のボウナイトが一定数存在し、昔の厄介さは健在です。

 

風花雪月

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強さ:★★★★

平民 → 戦士 → アーチャー → スナイパー → ボウナイト

「風花雪月」でのボウナイトは、「エコーズ」と同じく弓兵系の最上級職との位置づけに。ボウナイトの資格を得るのハードルは結構高く、要求技能をクリアするにはスナイパーとパラディンを行き来させて育成する必要があります。その分、就職できた際にはプレミア感ある強さを発揮してくれます。

特に、兵種スキルの「射程+2」により常時射程4を実現できるのが強力です。「デスΓ」持ちダークビショップや「スライムΒ」持ちダークナイトなど、危険な射程3の闇魔法使いを射程外から安全に処理できるのが嬉しいところ。また、「煉獄の谷アリル」や「フォドラの喉元」などの平地が狭いマップでは、谷越しに敵を一方的に削れます。

また、ロングボウを装備して戦技「狙撃」を使えば、驚異の射程8を実現。再移動も合わせ、遠くの敵にちょっかいを出して、移動スイッチをオンにするのに役立ってくれます。

また、弓の戦技は、頼れるデバフ系のラインナップが豊富。特に「囲いの矢」は大型の敵の足止めに大活躍。「ブレイクショット」で間接的に味方の火力をアップしたり、「ウィークショット」で自軍の安全を確保するなど、サポートもお手の物。歴代ボウナイトの中で最も便利な万能職で、自軍に何人居ても困りません。

 

まとめ

ボウナイトの強さの移り変わりは、こんな感じです。

  • 封印~烈火:黄金時代
  • 聖魔~蒼炎:だんだん弱くなる
  • 暁~新暗黒竜:暗黒時代
  • 新紋章~if:また盛り返す
  • エコーズ~風花雪月:安定して強い

今後もボウナイトは新たな強さを見せ続けてくれるのでしょうか。次回作以降に期待がかかります。

*1:騎兵は通過不可

*2:「魔導の指輪」+サンダーで射程5の攻撃が可能な、ボウナイトのライバル兵種