リズム天国のゲームのパターン分類と難易度向上手法

リズム天国シリーズには色々なゲームが登場しますが、この中には似たような性質を持ったゲームのグループがあることが分かります。例えば、「モアイソング」「シューティング」「恋の実験室」といったゲームは、お手本と同じリズムをリピートするというタイプのゲームです。また、「ウラオモテ」「タップスター」「ボッサレシーブ」といったゲームは、2つのリズムを切り替えるというタイプのゲームです。このようなゲームのタイプを数えると、全てのゲームは大体6つのパターンに分けられると思います。以下では、各パターンのゲームの特徴を考えてみました。

また、同じパターンのゲームは、どうしても内容が似通ってしまいます。例えば、「まほうつかい」と「応援団」はいずれもお手本をリピートするゲームですが、音楽こそ違えど両者のルールは全く同じです。別のソフトに同じルールのゲームがあるのは良いとして、同じソフトの場合は何らかの差異を付ける必要があります。差異の付け方としては、後に登場するゲームほど難しくなるように、難易度面で差を付けるのが良いでしょう。このような難易度調整の方法はゲームのタイプごとに異なるのですが、面白そうなので一緒に考察しました。

 

 

テンプレート型

最初に提示されたリズムと同じリズムを、ひたすら繰り返し続けるパターンのゲームです。当然ですが、単なる繰り返しのみでは、簡単すぎてゲームになりません。繰り返しの中に仕込まれたトラップが、プレイヤーを巧みに惑わせます。

 

 

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このパターンの例として挙げられるのが「ショートライブ」です。このゲームでは、プレイヤーは曲の締めの部分のギターパートを担当します。どんな曲でも必ず締めは同じリズムになりますので、プレイヤーは毎回正確に締めを演奏する必要があります。曲は8曲連続で流れるのですが、そのテンポは毎回様々に変化します。そのため、テンポ変化に対応しつつミスなくゲームを終わらせるのは意外と難しいものです。

 

 

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視覚や聴覚に縛りを加えるのも、このパターンのゲームの十八番です。

「バッティングショー」は、投球→ボール隠蔽→ボール出現が必ず同じタイミングで発生するゲームです。つまり、プレイヤーは必ず同じタイミングでバットを振れ、というわけです。しかし、一定間隔でリズムを刻んでいたはずのバックミュージックが突然曖昧になったり、カメラが急に引いたりして、プレイヤーに与えられる情報が徐々に減るため、ゲーム進行とともに難易度が上昇します。こういった縛りは、入力タイミングが常に一定だからこそ活きるわけですね。

 

等間隔型

等間隔な音が連続で提示されるのですが、その最後の音が欠けている、というパターン。プレイヤーの目的は、最後の音を適切なタイミングで叩くことです。

 

 

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このパターンの代表例は「パチパチ3人衆」でしょう。連続した3音の最後を叩く、というシンプルなルールなのですが、進行に従って音の間隔が伸び縮みし、プレイヤーに揺さぶりを掛けてきます。

(このゲームの場合、叩き方が1通りしか無いため、テンプレート型とあまり変わりませんね…)

 

 

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「パチパチ3人衆」ではプレイヤーが手拍子を打つのは必ず3回目なのですが、続編以降ではプレイヤーが何回目に入力を行うのかが一定しないゲームも出されています。

例えば、上の「ボックスショー2」ではプレイヤーが入力を行うのは2回目/3回目/6回目のいずれかです。照明が消灯するときは必ず3回目なのですが、点灯するときは状況をよく見て判断する必要があります。このときの点灯パターンは5種類存在します。そのうち、チュートリアルで説明されるのは2パターンのみなので、残りの3パターンはプレイヤーが実践で学ぶほかありません。このとき、点灯が等間隔に行われることを踏まえれば、前もってパターンを教わらなくても何とか対応ができるという訳です。

 

 

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入力機会を重複させるのも、このパターンのゲームでは有りがちな難易度上昇法です。

例えば「帰ってきた階段キャッチ」では、前のフルーツに折り重なるように次のフルーツが落ちてきたり、フルーツ2個が半拍ずれて落ちてきたり、後のフルーツが前のフルーツを追い越したりと、プレイヤーを混乱させる仕掛けが満載です。「ホッピングロード」や「古書ガールズ」にも似たような傾向が見られますね。

 

 

復唱型

ゲーム中に提示されたお手本のリズムを、プレイヤーが即座に繰り返すというゲームです。「ゴールド」の時代に隆盛を極めましたが、最近は減少傾向にあるゲームです。

 

 

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このパターンの基本的なゲームとして挙げられるのが「まほうつかい」です。このゲームでは、魔法使いがあるリズムで地面に種をまきますので、続いてプレイヤーが同じリズムでボタンを押せば、その種に花が咲く、というものです。ゲームが進むにつれて、リズムは微妙に複雑になっていきます。

復唱型のゲームですが、性質上、違うゲームを用意しても、見た目が違うだけでルールは同じ、という状況が起こりやすいようです。そのため、難易度を上げたりゲームに個性を持たせたりするのに苦労しているような様子が感じられます。

 

 

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復唱系のゲームに個性付けをしたり難易度を上げたりするために良く用いられるのが、複数の操作を用意するという方法です。例えば、上の「タンバリン」では、サルのお手本に合わせて、タンバリンを叩く/振るの2種類の動作を使い分ける必要があります。

このように別々のボタンの使い分けを求めるゲームの他に、ボタンの通常押しと長押しを使い分けるゲームもあります。例えば、「リズム脱毛」「モアイソング」「コーラスメン」などが長押しの登場する復唱系ゲームですね。

 

 

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動作の種類がやたら多いのが「ロッカー2」です。このゲームでは、ギターを弾く・ギターの音を止める・チョーキング、の3種類の操作が混じったお手本を正確に繰り返す必要があります。また、合図に応じて所定の決めフレーズを演奏する必要があります。最近は、決めフレーズを取り入れたゲームが結構増えていますね。

 

 

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お手本を長くすることで難易度を上げているゲームもあります。「元祖はたらくまんじゅう」では、お手本の長さが通常の倍になる区間が登場。お手本が長いとプレイヤーの記憶はあいまいになるため、簡単なリズムでもミスが誘発されます。

 

 

n択型

最初に教示される複数の動作から適切なものを選び、タイミング良く行うタイプのゲーム。どの動作を行うか、またいつ行うかということに関しては、音声で指示が出ることが多いです。

 

 

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上の「コスモダンス」では、右に傾く・パンチする・座るの3種類の動作を、スペースお姉さんの掛け声に合わせて繰り出します。いずれの動作もタイミング良くボタンを押す必要があるわけですが、そのタイミングをしっかり覚えたつもりでも、前に別の動作を挟むと操作が不安定になったりします。その辺にいかに慣れるかというのがポイントですね。

 

 

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このタイプのゲームの難易度を釣り上げる方法として良く取られるのが、動作の種類を増やす方法とテンポを上げる方法です。

「マッスル人形チャンピオン」では、ジャブ・2連打・倍速2連打・3連打の4種類の行動が登場します。行動が4種類というのは結構多めですし、倍速2連打は予告の声も倍速なので反応が難しいです。画面が全く見えない間に入力を求められるといういやらしさもあり、割と難易度は高め。

 

 

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合図を分かりにくくして難易度を上げている例もあります。n択型のゲームでは、入力機会が来ると、どの動作をすべきかを声や音などで指示してくれる場合がほとんどです。しかし、「カラテ家の父」においてはその指示が電球の色というリズムと無関係のもので行われるため、紛らわしいことこの上ありません。

 

 

連続n択型

最初に示される複数の動作の中から適切なものを選んで合図に合わせて行う、という点はn択型と同じ。ただ、こちらに関しては、何も言われていなくても一定のテンポで特定の動作を常に継続する必要があるという違いがあります。その上で、何かの合図があった場合は、継続中の動作を一旦中断し、別の動作を行います。

 

 

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このパターンの代表例は「ケロケロダンス」でしょう。プレイヤーの取るべき行動は、腰を振る・回転する・ハッハーイ、の3種類。このうち、腰振りについては普段から一定のテンポで行う必要があり、残りの2つの動作は合図があった際に行います。

連続n択型のゲームは、n択型のゲームに比べて入力の機会が多いため、パーフェクトチャレンジの難易度を釣り上げるのに1役買っています。特殊動作から通常動作に戻る際にミスが起こりやすいのもポイント。

 

 

 

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連続n択型のゲームもn択型と同様、動作の種類を増やすことで難易度向上が図られています。例えば、「コスモピンポン」では、プレイヤーは通常返球・ロブ・スマッシュ・高速ラリーの4種類の動作を使い分ける必要があります。そもそものテンポが速いのはもちろん、通常返球以外の動作が入る頻度も上がっており、割と難易度は高めです。

 

 

 

スイッチ型

2つのリズムを使い分けるゲーム。プレイヤーは一定のリズムでボタンを押すことになるのですが、何らかの切り替えの合図が入ると別のリズムに移行し、また合図が入るともとのリズムに戻り…、といった動作を繰り返します。全ゲーム中、最も難しいタイプのパターンです。

 

 

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このパターンの初出はリズム天国ゴールドの「ウラオモテ」です。このゲームは、バックミュージックに合わせて表打ちまたは裏打ちを行うというものです。この際、合図に合わせて表打ち⇔裏打ちを切り替える必要があるのですが、この切り替えの際にミスが頻発。ゲームが進むにつれて切り替えの発生頻度が上がり、プレイヤーを追い詰めます。

 

 

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スイッチ型のゲームは、復唱型や等間隔型のゲームに比べれば、ゲームごとの個性を主張するのが簡単です。リズムの組み合わせを変えれば、今までとは異なったゲームであることを示せますからね。

上の「コンコンズ」は、3連符を刻み続けるというリズムと、3連符のうち3回目のみを休むというリズムの2つを切り替えつつプレイするゲームです。3連符を刻むという点に関しては、ボタンを一定間隔で押し続ければいいので、「ウラオモテ」と実質的には同じ動作となるわけですが、もう片方のリズムが「ウラオモテ」とは全く異なるという点でゲームの個性が付けれらています。

 

 

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普通のパターンであれば、続編が出るごとにゲームの難易度を釣り上げる必要があるわけですが、スイッチ型に関してはもともとの難易度が高すぎるため、むしろ難易度を下げる方法を考える必要があります。

最新作に登場するスイッチ型のゲームである「ごっつぁん兄弟」は、かなり手加減調整をされた難易度となっています。このゲームは力士に四股踏みや突っ張りをさせるというものなのですが、そのどちらもボタンを一定の時間間隔で押し続けるという簡単な操作で実行でき、突っ張りが四股踏みの倍速でボタンを押さねばならないという違いしかありません。結果的に、リズムの切り替えは簡単にできます。ただ、決めポーズを取るのは結構難しいですけどね。あんまり難しいゲームを出しても初心者に投げられるだけなので、こういうマイルド調整もアリなのかもしれません。