ファイアーエムブレムシリーズのユニットは、過去作のユニットをモデルとして作られていることが多いです。例えば、覚醒のユニットで言えば、リヒトはマリクなどの少年魔道士、ソワレはカインなどの赤騎士、セルジュはミネルバなどの寝返り竜騎士をモデルにしていると予想できます。
では、「if」のユニットは、過去作のどのポジションをモチーフに作られているのか? …ということが気になったので、考えてみました。
共通ユニット
レナ。
FEでは、やや年上のシスターの後に妹系シスターが仲間入りする場合が多い。例えば、レナとマリア、サフィとティナ、エレンとクラリーネ、マリーシアとユミナなどである。本作では、フェリシアとエリーゼ(orサクラ)がこの役に当てはまる。
メイドという役職は、前作のセルジュの発展形に見える。正確には、セルジュは「家庭的」とのキャラ付けとカチューシャのデザインがメイドっぽいだけであって、本職は軍人。一方、フェリシアの方はド直球なメイドになっている。
さらに、フェリシアはドジとの設定があるが、前作のスミアも同じである。有力な結婚相手はドジ、との役回りがあるのかもしれない。
ジョーカー
執事はFE初登場だが、主人公の世話をするという役割的には前作のフレデリクに近い。フレデリクも執事をイメージして作られたキャラらしいので、性格的な部分は受け継いでいるのだろう。
スズカゼ
緑騎士。アベル・ルーク・セイン・カイル・オスカーらと同様の立ち位置。「緑騎士はモテる」という傾向が古来よりあるそうだが、スズカゼもやはりモテる。
サイラス
幼馴染属性を持った男。
主人公の幼馴染といえば、ヒロインに多い設定という感じ。例えば、シーダ・リリーナ・ナンナといったヒロインは主人公と昔からの知り合いということになっている。サイラスも、女主人公の有力な結婚相手候補として用意されたキャラなのだろう。
ヒロインではないが、「男の幼馴染」の例もFEには存在する。例えば、ウォルト・サザ・ヴェイクがそうである。どういうわけか、この系譜にはイラナイツが多いらしい。もちろん、サイラスもその例には漏れない。
ギュンター
ジェイガン。序盤に突然離脱したり、実は黒幕だったりと、今回のジェイガンはプレイヤーの意表を突いてくれる。ジェイガンが敵に回るパターンは、聖魔のオルソン・暁のティアマト(3部12章)に続いて3回目である。
モズメ
アメリアやドニなど、とんでもなく成長する人のポジション。弓使いの資質を持つせいか、タニア・レベッカ・ネイミーなどの弓兵村娘の系譜を受け継いでいるような気もする。
アクア
従来の踊り子ポジション。踊り子と言えば、武器を装備できない人(ララム・テティス・リュシオン)や剣なら装備できる人(フィーナ、ラーラ、オリヴィエ)が居たが、槍を装備できるのはシリーズ初。
ついでに、セネリオのように主人公に助言を与える役割も兼ねている。まあ、助言の内容は、「とりあえず両軍を殴ってみよう」といった投げやりなものが大半ではあるが…
同時にヒロインでもある。
白夜のユニット
リンカ
アクスファイターが戦士なら、鬼人は蛮族。ということで、ゴンザレスやラルゴなどの蛮族系ユニットの女版であると思われる。
サクラ
妹シスター。マリア・エスリン・プリシラ・ミスト・リズなどと似たようなポジションだと思うが… この手のユニットは、明るく活発な性格であることが多いため、サクラのように内気なキャラは珍しい。エリーゼと被らないように頑張った結果、こうなったんだろうなぁ…
カザハナ
マリータ・フィル・マリカ・ワユ・セレナなどの少女剣士ポジションであろう。剣士は孤高の存在であるため、この手のユニットは、ワユを除いて、何となく気丈でツンツンしていることが多い。カザハナに至っては、支援会話で突然主人公に喧嘩を売ってくるので、ツンツンどころの話ではない。
ツバキ
まさかの男天馬騎士。天馬騎士は、3人姉妹であるのがFEの通例である。ユウギリが長女・ヒノカが次女っぽいので、ツバキは三女ポジションなのかもしれない(あまりそうは見えないが)。完璧主義は前作のティアモが出典。
オロチ
こんなポジションあったっけ?
少女魔導士というには歳が行き過ぎている。あえて言うなら、セシリアやカリルのようなものだろうか。
イタズラ好きだという個性は前作のリズ、まじないに精通している点は前作のサーリャと共通する。
サイゾウ
スズカゼと対になる、赤騎士ポジション。今回は和風の国が舞台ということで、職業は騎士ではなくニンジャ。このポジションのユニットが騎兵でない兵種に就くのは、トラキアのオーシン・ハルヴァン以来である。
「赤騎士は無鉄砲」というのがシリーズのお約束だが、今回はその伝統がサイゾウの自爆芸に表れているようだ。
ヒノカ
ペガサス3姉妹の次女ポジションと思われる。次女にはティトやティアモなどクールな人材が揃っている印象があるが、ヒノカも方向性としてはそれに似ている気がする。能力値がやたらと伸びるのも、次女の系譜。
アサマ
男僧侶。サウル・モルダ・キルロイのようなものであろう。毒舌という個性はどこから来たのか良く分からないが、一応、口の悪い聖職者という意味ではアウグストの前例がある。
セツナ
ドロシー・ノルンなどの少女弓兵とブリギッド・ルイーズ・イグレーヌなどの人妻弓兵の間ぐらいを行くキャラ。
マリク・アスベル・リヒトなどの少年魔道士ポジションである。この手のユニットは風魔法を初期装備としていることが多いが、ツクヨミは風の部族出身というバックボーンで風要素をアピール。さすがに少年が作中で子供を作るのはまずいので、事あるごとに「子供ではない!」と主張をしている。ややサーリャに引っ張られた部分も持つ。
オボロ
能力的には、守備寄り槍歩兵ということで、蒼炎のネフェニーがモデルだと思う。
ヒナタ
ギィやエディといった少年剣士がモデルだと思う。さすがにナバールの系譜ではない。
タクミ
少年弓兵という立ち位置では、ゴードン・ロナン・ウィル・ヨファなどと同じである。一方、ひねくれた性格はヒーニアスやシノンを髣髴とさせる。加えて、嫉妬のあまりダークサイドに落ちてしまうという点では、ガーネフやケンプフと共通するものがある。このように、ファイアーエムブレムシリーズの様々な要素を合わせた、集大成的なユニットである。
更に、これに留まらず、マクベスに操られてしまう点・風土病で出撃不能になる点・イザナとともに捕えられた状態で登場する点などは、従来のヒロインと同じである。彼はどれだけキャラを盛れば気が済むんだろうか?
カゲロウ
新出ユニットでしょう。
ユウギリ
ペガサス3姉妹の長女ポジションに見える。ユーノ・シレーネ・タニス(蒼炎)らと同じく、他の天馬に比べて成長率が悪い。
ニシキ
覚醒のベルベットと同じ役割だということは分かる。
クリムゾン
ミネルバ・ミレディ・ジルなどの寝返り赤髪竜騎士がモチーフらしい。今作では、反乱兵としての活動で寝返り要素をアピール。赤髪ではないが、鎧と名前が赤い。
この立ち位置のユニットは従来なら重要人物であることが多いのだが、本作では支援が少なかったりイベントで死亡したりと、やや扱いが雑である。
リョウマ
ガルザス・カレル・ソーンバルケといったお助けソードマスター的な立ち位置。超人兄貴としての個性は、ウーゼルやエフラムから受け継いでいる気がする。
暗夜のユニット
妹シスターポジションで、前作のリズの特性を受け継いでいる様子。まさに「暗夜の太陽」。
エルフィ
女アーマーの例は過去作には少ないが、あるとすればウェンディ・シーマ・デジェルあたりが挙げられる。筋トレマニアという個性は前作のデジェルと共通。女アーマーはこういう方向性だということなのかもしれない。
ハロルド
何だか良く分からない人物だが、サジマジバーツ的な戦士ポジションだろうか。3枚目キャラという意味では前作のグレゴとも似ている。
因みに、今作にはオグマを始祖とする傭兵ポジションが存在しない。傭兵はラズワルドとルーナで十分だし… 傭兵ポジションの末裔であるグレゴがハロルドに統合されて消滅したのだと思う。
オーディン・ルーナ・ラズワルド
前作から続投の人物。
ゼロ
盗賊と言えばフォルカやラガルトなどクールな人物が多い印象があるが、前作のガイアでややフランクな性格にシフトしたからか、ゼロもネタに走ったキャラとなっている。今後の盗賊も、面白路線で行くのかもしれない。
ニュクス
ソフィーヤやニノなどの少女魔道士らしき立ち位置。ツクヨミと同じく、少女が作中で出産するのはまずいので、中身は大人だということになっている。
カミラ
これは明らかに敵キャラがモチーフ。ブルーニャ・ウルスラ・セライナなどの女幹部をイメージしたユニットだろう。飛行系魔道士かつ巨乳であるという点では、前作のインバースを受け継いでいる。
性格としてはヤンデレな感じが印象的だが、これは前作でヤンデレなサーリャの人気が高かったことを受けて取り入れられたのかもしれない。レズっ気もあるが、その手のキャラは暁のヘザー以来である。
ベルカ
カミラと同じく、敵キャラ寄りの個性を持つ。リムステラ・カヒタリーノ・ローローなど、感情の読めない化け物じみた敵と近いイメージ。パワータイプのドラゴンナイトとは全くマッチしないキャラ設定である。
ピエリ
過去作では珍しい、赤緑コンビ以外での女性ソシアルナイト。新奇性のあるキャラで、過去作のパターンに当てはめるのはやや難しい。
殺人が趣味という危険人物で、笑いながら人を殺す感じは前作のヘンリーに共通する。年齢不相応に子供っぽい喋り方だという個性は新しい。あえて言えば、紋章のマリーシアがそんな感じかも。
ブノワ
お馴染みの男アーマー。昔はドーガ・バルボ・アーダンなど、お世辞にも強いとは言えないアーマーが多かったのだが、最近は男アーマーの戦闘力が見直されつつあり、今作では遂に作中最強とも言える強さを手に入れた。暗夜王国はヴァンパイアの国をイメージして作られたらしく、ブノワもフランケンシュタインに似た外見をしている。
シャーロッテ
女戦士はシリーズ初なので、過去作のどのポジションにも当てはまらない。強いて言えば、エキドナ・フラヴィアなどの腕自慢の女斧使いの要素は入っているのかも。
レオン
暗夜王族では唯一、過去作に例を見ない人物である。人物像としては、敵に厳しく身内に優しい点は他の暗夜王族と同じだし、少しひねくれている所はタクミと同じ。一方で、レオン特有の性質としては、白夜18章の登場シーンで見せた不気味さが挙げられる。そういう意味では、加賀作品でお馴染みの、不気味な暗黒司祭がモチーフになっているのかもしれない。
また、自国の兵を処刑するのもレオンの大事な役割である。部下や同僚を殺すのは、もはやFEの悪役のお家芸。リムステラ・ヴァルター・プラハ・エレミヤといった、味方殺しの幹部のポジションを見事に受け継いでいる。
フランネル
妙に単細胞な気がする。ヴェイク的な役回りか…?
マークス
カミュ・ラインハルト・ゼルギウスなどのイケメン将校ポジション。
従来、こういう立ち位置の敵は話の分かる人物であることが多く、エルトシャンならラケシス、ラインハルトならオルエンといったように、妹で説得することが可能となっている。しかし、マークスはどういうわけか頑固者で、白夜26章では妹であるエリーゼの説得には全く耳を貸さない。それどころか、(場合によっては)もう1人の妹である主人公を殺そうと切りかかってくる。
このような忠誠心が強く頑固な所は、マードック・デュッセル・ブライスなどの老将軍とも似ているところがある。敵幹部の筆頭たる将軍ポジションも兼ねている人物と言える。
NPC
チキ・ファ・ミルラ・ノノなどのマムクートポジションに思える。竜だし。ただ、今までのロリマムクートよりは精神年齢がかなり上。もしかすると、ロリマムクート枠はカンナの方なのかもしれない。
敵国王お付きのソーサラーということで、ガーネフ・リオン・ファウダーのような黒幕司祭枠なのかと思ったが… 今作の黒幕はむしろハイドラの方であり、マグベス自体はただの小悪党である。
ミコト
「殺される親族」ポジション。敵に殺されることで、主人公に戦う理由を与える、極めて重要な役回りの人物である。
ところで、この役割は父親がこなすのがFEの通例である。バイロン・エルバート・ファード・グレイルなどがその好例。ウーゼル(兄)やエメリナ(姉)といった変わり種もあったが、母親が殺されるのは初めてである。
虹の賢者
ガトー・アトス・ユンヌ・ナーガ(覚醒)と同じ感じで、人知を超えた力を主人公に授けてくれる有難い人物。
ガロン
敵国王の通例に倣い、オールバックで登場。正気でない所はハーディンやヴィガルド、斧でゴリ押ししてくる所はヴァルハルト、昔は名君であった点はゼフィール、主人公の父親である点はルドルフと同じ。かなり色々な要素をまとめ上げたキャラ。
実はモテる、という個性は歴代初かもしれない。