強力クラスの弱体化の歴史(ファイアーエムブレム)

ファイアーエムブレムの魅力の一つは、多種多様な兵種が使用可能だという所でしょう。

しかし、兵種が多いということは、兵種間のバランスが取りづらいということでもあります。どうしても強い兵種と弱い兵種が生まれてしまい、結果的に「この兵種さえ使えばクリアは簡単!」などということになってしまえば、ゲームの面白味に悪影響が出ます。

というわけで、あまりに強い兵種が生まれてしまった場合には、次回作で反動が来て、その兵種が弱体化する、ということは良くある話です。弱体化の方法は、パラメータの下降、特効の追加、その兵種が不得意とする敵の配置増加、など様々です。

以下では、各作品ごとに、その作品で弱体化された兵種を書いていこうと思います。兵種の使い心地は、基本的に最高難易度モードでの評価となります。

 

トラキア776

ランスナイト・アクスナイト・アーチナイト

前作「聖戦の系譜」では騎兵が活躍するような広大なマップが多く、かなり優遇された兵種でした。

その反動もあり、トラキアでは面積の狭いマップや屋内マップが増え、騎兵の移動力に必ずしも頼らなくていいようなステージが増加。

さらに、屋内では下馬の必要があるため、槍・斧・弓が使用できない、というのも上記兵種の痛い点です。

この変更は、馬以外も使えよ、という公式からの通達であると言えるでしょう。

 

封印の剣

ドルイド

前作まででいうロプトマージやダークビショップに相当するクラス。

やたらと威力の高い魔法を撃ちこんでくる難敵でしたが、今作では闇魔法の威力も低く、また敵専用の魔法もほぼ削除され、別に警戒するほどでもないクラスとなりました。

今回は敵国が闇魔道士の国ではなく竜騎士の国となっていますので、設定に合わせて能力を下げられたのでしょう。

 

戦士

トラキアでは、素早く、間接攻撃もでき、やたら必殺を出し、攻速落ちせず、捕縛にも活躍、といったように八面六臂の活躍を見せたアクスファイター。

万能選手すぎたため、封印の剣ではHPと力が高いだけの兵種にされてしまいました。

スピードを大幅に落とされたのが、回避が重要なゲームバランスにおいては最も痛い点ですね。

 

司祭

前作までは全ての属性の魔法に強かった光魔法ですが、今作からは「闇以外には弱い」という悲しい性能にされてしまいました。GBA3部作では理魔法に弱くなっただけで済みましたが、暁では魔法5属性中3属性に弱いという残念な状態となっています。

結果的に光魔法は、徐々に趣味で使うレベルの魔法という立ち位置に変化していきます。

 

烈火の剣

ソードマスター

封印の剣では、必殺率ボーナスが30%という優遇措置が取られ、とんでもない戦闘力を誇っていました。

こちらも強すぎたためか、ボーナスが15%に下方修正。

さらにハードブーストが廃止され、また味方の剣士であるギィの成長率も控えめとなっているため、割と大人しい兵種になりました。

 

遊牧騎兵

封印の剣では、移動力が高く、森や砂地への進入コストが小さく、川を越えられ、騎馬特効を喰らわず、回避率が高い、というかなり便利な兵種でした。

遊牧騎兵の存在が完全にスナイパーを食ってしまっていたため、本作では騎馬特効が有効となり、自軍遊牧民の登場が遅くされ、さらに登場章の直後が砂漠マップ、というような逆風に曝されることに。

まあ、多少弱くなったところで、相変わらず強クラスであることには変わりないんですけどね。

 

聖魔の光石

マージナイト・ヴァルキュリア

杖で後衛からのサポートもでき、高い回避率で前衛での地雷もできる、といった万能選手としてトラキアの頃から活躍してきた魔法騎兵ですが、この辺りから連続で修正の手が入ります。

ヴァルキュリアは使用魔法が理から光に変更され、火力を失います。魔物に良く効くことがウリの光魔法ですが、ヴァルキュリアには魔物特効のスキルが無いため、あまり意味がありません。

一方のマージナイトは移動力が7に制限され、加えて魔力の上限も低いため、賢者の下位互換となりがち。

魔法騎兵はやっぱり便利なので、蒼炎では魔法が剣に差し替えられたり、覚醒では成長率が目に見えて下がったりと、事あるごとに調整の対象になります。

 

蒼炎の軌跡

ソードマスター・ファルコンナイト

敵味方の守備力が底上げされたことにより、手数で勝負するタイプの兵種は火力不足に悩まされることに。

加えて敵味方ともに攻撃を当てやすいゲームバランスになった事で、回避率がウリだった兵種はその強みを失ってしまいました。

強かったソードマスターが弱体化されるのは順当ですが、別に強くなかったファルコンナイトがとばっちりで弱くされたのは可哀相ですね。

 

賢者

GBA3部作では、守備力も回避率もそこそこ高いバランス型のパラメータで登場し、後衛だけでなく前衛もこなせる便利な兵種でした。

そんな魔法使いによる無双を防ぐためか、蒼炎では敵の攻撃を喰らえば簡単に消し飛ぶような耐久力にされてしまいました。

しかも魔法の威力が不当に低くなり(威力2のウインドなど)、火力も制限されました。

とはいえ、ラグズや飛行系への特効を得たため、依然として重要な戦力であることには変わりはありません。

 

暁の女神

パラディン

蒼炎の軌跡では、やたら硬く、まず追撃されず、攻撃後再移動可能で、クラスチェンジ時に任意の武器を習得可能、と便利すぎる性能を誇っていました。

そのような騎馬ゲーの流れを断ち切るためか、暁では耐久力を中心にパラメータを下方修正されます。

また習得武器も固定となったことにより、他のクラスと並ぶ程度の使用感に。

ナイトキラーによる特効も武器威力3倍に強化され、壁としては安定しなくなりました。

 

ジェネラル

敵に追撃されやすいことが弱点であるジェネラルですが、蒼炎の軌跡では超素早いジェネラルの育成が可能で、万能ユニットと化していました。

暁では、装備者を素早くする「騎士の守り」が削除され、速さを1.5倍にする「勇将」の発動条件が厳しくなったため、ジェネラルの速さ補強がかなり困難に。

結果的に、蒼炎のような狂った戦闘力は発揮されなくなりました。

一方で、暁では魔防がかなり強化され、物理にも魔法にも強くなったため、一概に弱体化されたとも言えません。

 

新・暗黒竜と光の剣

ホースメン

遊牧騎兵やフォレストナイトが強かったことへの反動なのか、今作では兵種の基礎パラメータがやたら低く設定されてしまっていました。

移動力もパラディンより低い値に設定されてしまい、ソードマスターと1しか変わらないという有様に。

速さ上限が高いのが長所ですが、そもそも今作のH5の敵はそこまで素早くないですし、レベル的に速さカンストまでユニットが育つことも少なく、更に速くても敵の攻撃を避けれないゲームバランスですので、長所が輝くことはありません。

結果的に、剣が使いたければソードマスター、弓が使いたければスナイパー、移動力が欲しければパラディン、という棲み分けとなってしまい、ホースメンは器用貧乏に。

一方で、次回作のホースメンは同じような能力なのに最強クラスの一角となります。この変貌っぷりは面白いですね。

 

ドラゴンナイト

暁で最強クラスと言われた神竜騎士

本作では、弓や風魔法で特効を喰らう仕様に戻され、さらに速さ上限が23というかなり厳しい制限を受けました。

蒼炎では速さ27まで育ったのに…

 

新・紋章の謎

ジェネラル

前作「新・暗黒竜と光の剣」では敵が揃って勇者武器持ちだったこともあり、殆ど敵の攻撃を受け付けない神クラスでした。

そんな「取りあえずジェネラル」のゲームバランスを打破すべく、今作では敵の攻撃力がとんでもなく強化されました。

特に、終盤のウォーリアやバーサーカーは攻撃力が45~50もあるため、守備カンストのジェネラルでも25~30のダメージを受けてしまいます。

結果的に、どう頑張っても攻撃2~3発でジェネラルが落ちてしまうので、終盤は壁としてはお役御免ということになってしまいます。

一方、序盤は鉄壁の強さを誇ってくれますので、需要は依然として失われていません。

 

勇者

前作では、安定した能力で敵味方共に強力なユニットという立ち位置でした。

逆に今作では、速さ上限が26であるという点が大きな足かせとなり、立場が危うくなります。

斧が使いたければバーサーカーを、剣が使いたければホースメンを持ってくればいいので、勇者を選ぶ必要はありませんしね…

敵の勇者も同様に速さが26以下ですので、速さ30のソドマスやホースメンにソードキラーを振らせれば即死させられるという有様で、あまり怖くはありません。

今作は万能ユニットを無くそうというバランス調整が効いているようですので、こういう変化は仕方ない事なのでしょう。

 

覚醒

ドラゴンマスター

飛行要塞としてFEの花形ユニットだったドラゴンマスターに、またも下方修正の手が入ります。

今作では、攻撃力のインフレによりドラゴンマスターの守備力が見劣りするようになったこと、敵にレクスカリバーとドラゴンキラーが配布された事、自軍全体の速さが底上げされたのにドラゴンマスターの速さは据え置きな事、ジェネラルの魔防が底上げされたのにドラゴンマスターの魔防が据え置きな事、などが原因でかなり微妙なクラスとなっています。

また、固まって戦うことが重要となったため、ドラゴンマスターで単騎掛けを行う必要が無くなったのも、需要の低下に拍車を掛けています。

敵として出てきた場合も、今作では飛びながら弓を撃てるため(飛んでる兵種に弓兵をダブルさせればよい)、対処は簡単です。

ドラマスが弱いのは残念ですが、必須兵種を意図的に弱くすることで他の兵種に目を向けさせる、という調整には好感が持てますね。

 

ボウナイト

強くなったり弱くなったりと忙しい弓騎兵ですが、新紋章でやたらと強かった反動を受けて弱体化されてしまいます。

今作では能力基本値の低さが輪を掛けて酷くなり、ついに技以外の殆どの項目においてスナイパーを下回るステータスとなってしまいました。

また、今作では間接武器持ちの敵を排除可能なロングボウの重要性が上昇したため、スナイパーの地位がさらに向上。

ドラゴンナイトにはファルシオンや風魔法での対処が可能となったため、弓騎兵自体の需要も減っています。

 

if

ソーサラー・勇者

リザイア地雷や太陽地雷で一世を風靡したソーサラーと勇者に、誰の目にも明らかな調整が入ります。

まず、両兵種とも守備とHPが大幅に減少し、リザイアと太陽だけで生き延びることが難しくなりました。特に、サーリャとニュクスなどを比べると、初期の守備力に歴然とした差があることが分かります。

また、リザイアや手斧に追撃不能との設定が追加されました。これにより、体力を吸収するだけの手数を確保できなくなっています。

魔法武器の隆盛により魔道士自体の必要性が疑問視されるようになったのも、ソーサラーには逆風となります。

 

ダークペガサス

魔法職なのに魔力が低いのがネックなダークペガサスですが、敵が使うとあら不思議、チート級の魔力を持った個体が次々と飛来し、とんでもない強敵と化すという兵種でした。どう考えても賢者やドラゴンマスターの上位互換の敵です。

あまりにも強すぎると判断されたためか、後継者のレヴナントナイトは、微妙な速さと微妙な魔力で登場。「飛べる魔道士」としての嫌らしさを残しつつ他を削ぎ落した、頭の良い調整と言えます。

また、自軍のみに登場するダークファルコンについても、同様に「疾風迅雷」が弱体化され、マイルドなクラスとなっています。